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INTERVIEW

一度のきりの人生は「自然体」で

SPECIAL INTERVIEW
伊藤 英雄さん
株式会社L.A.P代表/ハイマガジン 編集発行人

一度きりの人生は「自然体」で

いわき市内のおいしい飲食店情報だけでなく、フリースタイルスポーツや音楽などサブカル情報も満載で発行されているローカルフリーペーパー「ハイマガジン」。いわきの若い世代から支持を集めるフリーペーパーです。今回紹介するのは、その「ハイマガ」の編集長をつとめる伊藤英雄さん。ローカルに根ざし、息長く活動していくための秘訣を伺いつつ、最近誌面に現れた、ある「変化」について話を聞きました。

 

いわきの若い世代の指示を集めるハイマガ。市内の個性的な飲食店のオトクな情報だけでなく、サーファーやボーダー、イベンターたちが活動をレポートする連載なども紹介されるなど、地元に根ざしたローカルマガジンとして知られています。創刊は2008年。2011年の震災後、しばらく発行できない時期もありましたが復活し、今も精力的にいわきの今を伝えています。

ハイマガが創刊されたのは2008年12月。次が92号かな。もうすぐ100号だけど、100号の前に辞めようかと思ってんだ(笑)。99で辞めて伝説作ろうかなって(笑)。いやそれは冗談だけど、改めて振り返ると、やっぱり大変だったけど楽しかったのかな。コラム書いてもらってるのも友達が多いし、仲間たちで盛り上げて来れたのはよかった。でもそれがローカル雑誌の基本なのかなって思う。友達同士で盛り上げていくっていうのがね。

おれの仕事は、書いて、作って、営業もしてって感じ。おれも入れて3人のスタッフがいるんだけど、ほぼみんな、それぞれが書くし、デザインもやるし営業もする。そういうスタイル。仕事してると感じるけど、街の賑わいは、震災直後に比べて少し落ち着いたね。頂点を超えちゃったから、ゆったり下ってる感じなのかもしれない。週末人が出てるねって言われても、震災直後のあの状況を考えたら全然だよ。飲食店の軒数が多いから。店があっても人手が足りないって言うしね。

最初からスタイルは変わらない。とびっきりスペシャルなことやってるわけじゃない。それが8年も続いてきた秘訣なのかもしれない。やりたいことやってるだけっていうね。休日にイベントとかあると「ハイマガ協賛してんの?」なんて言われるけど、休日はウチは休みだから(笑)。休みは休みだし、海も入りたいし子どもとも遊びたいし。そういうスタイルの方が長続きするのかもしれない。無理をせず、やりたいようにやればいいんだよ。

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平三町目のビルに事務所を構える伊藤さん。お仕事中にも関わらずざっくばらんにお話を伺いました。

4カ月前から、ハイマガにこれまでになかった連載が増えました。いわき市内でのゴミ拾い活動や様々な「ごちゃまぜイベント」を企画する「グリーンバードいわきチーム」の連載が始まったのです。書き手はチームを運営するソーシャルデザインワークスの松岡真満。いわばお硬い福祉系人材が、いわきのサブカル雑誌でコラムを書いている。なんともミスマッチな組み合わせなのです。

グリーンバードがいわきに来た頃から知ってるんだけど、ゴミ拾いしてるってのに共感したかな。個人的にも町なかに落ちてるゴミを拾うクセがあって、ゴミ拾いする団体さんが来たってことでこっちからメール送って。それでコラムを掲載してもらうことになって。松岡さんもノリが良いし、波動高いよね。それでトントン拍子で話が進んでさ。グリーンバードの活動はほんとすげえいいことだと思うよ。誰でも参加できそうだし。

ゴミ拾いってさ、けっこういろんな会社とかがやってるけど、継続してるのはグリーンバードくらいでしょう。企業でやると宣伝目的かって思われちゃうけど、グリーンバードはほんと嫌らしくないところが好きだなあ。来たいヤツだけ来ればいいって、そんな感じでしょ? そのスタイルは最高だよね。内郷に根ざしてるのもすごくいいし。なんかいい具合に力が入ってなくて、自然体なのがいいのかな。

もう何回か書いてもらってるんだけど、こないだ松岡さんから「ハイマガ見てゴミ拾いに来てくれた人がいたんです」って言われてさ、今までゴミ拾いとかしなさそうな人が来てくれたって。いやあ、それを言われたこっちはほんとびっくり。まさかコラムで結果出るなんてね。普通の広告でも結果出てないんだから(笑)。ほんと、素直にうれしいよね。そんな風にして繋がっていけばいいなって思うよ。

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毎月グリーンバードいわきチームの活動を紹介する連載もはじまった。

伊藤さんがグリーンバードのゴミ拾いにひっかかったのは、自身も頻繁にゴミ拾いをしているからかもしれないと言います。だからこそグルーンバードに引っかかり、松岡のコラムに繋がったようです。伊藤さんも習慣づけているというゴミ拾い。伊藤さんは、どういった動機から、町なかのゴミを拾っているのでしょうか。

配達とかで市内を車で走っててさ、前の車がタバコをポイ捨てしたりとかしてるの見るのはイヤだし。親も子どもにゴミ拾えって言うくせに親のほうがが捨ててるとか、そういうのがイヤで。いや、でも単純にゴミを拾うといいことあんじゃねえかって、どっかで思ってるってのはあるよね。なんかさ、ちゃんとしないとバチがあたるみたいな。あとはゴミ拾う自分に酔ってる(笑)。おれ良いことやってるって。見返り待ってるんだけど、なんかあるぞって、ずっと待ってるんだけど来ないんだよねー(笑)。

そう思うようになったのも、神社に行くようになったからかもしれない。毎月1日と15日に神社に行くようになってさ。「成功してる人は、なぜ神社に行くのか?」なんて本もあるし、いろいろ頑張ってる波動高めの先輩とかからも「ちゃんと神社とか墓参りとか行けよ」って言われて。それでいろいろ話聞いたら、上の人たちはみんなやってんだなって知らされて。それで行くようになって、余計にちゃんとしないとって思うようになったかも。

でもさ、そういうもんだと思う。おれはこんなすごいことをしてます、って宣言する必要なくてさ。さりげなくみんな自分に酔いたいし、バチに当たりたくもないし。人間そんなもんじゃない? ゴミ拾いだって、地域のためとかそういうんじゃなく、ゴミ拾いしてたらなんかいいことあるかもしれないとか、ゴミ拾いしてる自分かっけえとか、そういう普通のモチベーションでいい。背伸びする必要なんて全然ないんだよ。グリーンバードもそういう感じでしょ?

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いわきの美しい女性をフィーチャーした表紙など、スタイリッシュなデザインが人気。

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営業も企画も制作も配達もみんなそれぞれこなすのが同社のスタイル。伊藤さんも現場主義だ。

雑誌づくりで大事にしていることは「自然体であること」だという伊藤さん。実は、身内に障がいを持った人もいるそう。理論ではなく生活のなかから得て来た「共生体験」が、伊藤さんの活動方針に受け継がれているのかもしれません。

実は、いとこが障がい持っててさ、幼少の頃から見慣れてるのはあるかもしれないけど、その障がいを意識したことってあんまりなくて。自然体? 何もしなくていいし、別に普通でいい。なんだろう、みんな正義感が出ちゃうのかもしれないね。でもさ、その正義感から何かをしたとして、当事者はそれを別に求めてるかって言ったらそうじゃないんだよね。みんなそれぞれが自分のことを普通だと思ってるわけだし。だから基本は、無理をせず、無茶をせず、自然でいいと思う。

自然体ってのは、地域との関わりとかもそうで、別にイベントだって、友達と酒飲んで楽しんでたら結果的に地元ににも良い影響があったっていう感じでいいの。強制になっちゃうとよくない。やりたくないならやりたくないでいいんだよ。震災後、支援物資を運ぶのにすごく頑張ってた人がいて、熊本のときも仕事そっちのけでやってたけど、鳥取のときはもう熱が下がっちゃってて。だから背伸びしなくていいんだよね。

仕事もそう。別にほかの会社とガンガンやりあう必要はなくてさ、例えば、ウチは若い読者がメインだから、もしお客さんが「高齢のお客さん呼びたい」って言ったら、ウチは引いて、他の媒体紹介したっていいんだよ。逆に「若い人に訴えたい」っていう会社がいたとして、ウチのこと紹介してくれたら絶対お返しするよ。それがお客さんのためなんだから。お客さんのことを考えたら、業界内のせめぎ合いとかどうでもいい。

だから、大事なのは自然体。背伸びしないこと。他者ともうまくやること。グリーンバードはそれができてるから面白いんだと思うよ。偉いことは言えないけどさ、福祉の業界だって、もしかしたらそうかもね。やる気のある人だけで、すごく真面目に問題意識持ってやってるんだと思うけど、そうなると楽しくないじゃん。だから、大義名分とかじゃなくて、自分が楽しんでるか、好きなことをできてるかって軸を大事にしたらいいよね。人生一度きりなんだから。マジメなことをやろうとするなら、余計にそうじゃないかな。(おわり)

 

profile 伊藤英雄(いとう・ひでお)
1974年いわき市生まれ。2008年にハイマガジンを立ち上げる。
平成25年8月23日に株式会社L.A.P(エルエーピー)として法人化。L.A.Pの意味は「Love & Peace」
家族4人暮らし。

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小松理虔|ヘキレキ舎
小松理虔|ヘキレキ舎
フリーライター。いわき市小名浜在住。UDOK.というオルタナティブスペースを主宰しつつ、地域に根ざした企画、情報発信、地産商品のブランディングや営業支援などを業務とする個人事務所「ヘキレキ舎」を運営中。